水松巳奈

東洋大学

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東洋大学国際教育センター講師。これまで国内外の大学において国際化推進、留学生教育、グローバル人材育成などに関わる。近年は、「内なる国際化」の推進に興味があり、国際共修等の実践・研究を進めている。

Sessions

オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分) コロナ禍における大学生の異文化コンピテンスの客観的評価に関する考察 more

Sat, Nov 27, 14:40-15:10 Asia/Tokyo

 近年、日本の大学では、グローバル化の進展に伴い、国際共修やCOILなど国内キャンパスで展開できる新たな教育国際化の形が模索されてきたが、その教育効果に関する客観的評価の欠如が指摘されている。今後エビデンスに基づく国際化を推進するためには、教育国際化の効果を示すことの重要性が叫ばれている。そこで本研究は、学びの主体である学生の変容に着目し、コロナ禍における大学生の異文化コンピテンスと、それに影響を与える外的要因(教育的介入や海外留学経験)と内的要因(学生の性質や価値観)を客観的に把握することを目的とする。 本研究では、2021年3月~5月に、日本のA大学で異文化理解や留学準備の授業を履修した学部生220名に対して、異文化コンピテンスと個人の性質・価値観を客観的に測定できる2種類の客観的評価テスト(定量調査)であるIDI(Intercultural Development Inventory)とBEVI(Beliefs, Events, and Values Inventory)を実施した。さらに、これらのテストの結果に基づいて、インタビュー調査(定性調査)を実施することで学生の異文化コンピテンスに影響を与える要因を探った。これらの調査の結果、調査協力者を1つのグループとして見ると、IDIでは、自己認識(Percerived Orientation)は異文化感受性発達理論(Bennett, 1986)で言うところの受容、実際の発達度(Developmental Orientation)は二極化のステージにあることが分かった。しかし、この結果を属性等で細分化して分析したところ、学生の所属キャンパスや学内外のソーシャル・キャピタル等によって、IDIでは異文化感受性の発達度、また、BEVIでは世界の理解(Global Access)等の異文化コンピテンスに関わる項目の数値に違いがあることが示唆された。インタビュー調査では、この差異に関する原因などを考察し、A大学の学生の異文化コンピテンスの特性について明らかにした。本発表では、上記結果に関する総合的な分析と考察について報告する。

水松巳奈