山本志都

東海大学

About

東海大学教授。ポートランド州立大学(修士)、上智大学(博士)。『異文化間協働におけるコミュニケーション』( 2011 年 , ナカニシヤ)、『異文化コミュニケーション・ワークブック』( 2001 年 , 三修社 , 共著)

Sessions

オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分) 日本型異文化感受性発達尺度の開発 more

Sun, Nov 28, 15:50-16:20 Asia/Tokyo

 本発表は、ミルトン・ベネットによる異文化感受性発達モデル(DMIS)の発達過程が日本ではどのような認知構造で経験されているかに関する過去の研究(山本, 2014; 2015)に基づき、日本型異文化感受性発達尺度の開発を目的として行われた研究を報告するものである。山本(2014)による質問紙調査では、構造的にはDMISの発達と同様でありながらも、違いを知覚して解釈するときの表現の仕方、および、注意を向けて焦点化するフォーカスの当て方等における異文化感受性の具体化には日本的なパターンのあることが明らかにされている。また、「異文化の違い」として認識する対象が「外国人」、「他の地域・地方の人たち」、「他の専門性・所属の人たち」であるかに関わらず、異文化感受性にはほぼ共通した構造のあることも明らかにされている(山本, 2015)。これらの結果、および、質問紙に採用する新たな項目を検討するための質的調査を経て、本研究では外国人に対する異文化感受性について62項目から成る質問紙を用いたインターネット調査(n=900, 20代~60代)を行った。異文化感受性とは二つ以上のカテゴリーに境界化する空間での相互作用において差異性をどのように知覚し解釈するかに関わっているため、外国人と日本人に境界化する異文化を念頭に置くものではない。しかしながら質問紙調査を行うにあたっては「文化的違い」と一般化した質問で尋ねるよりもコンテクストを明確にすることを優先させることにした。  最尤法による探索的因子分析を行ったところ、F1「移行期」、F2「エスノリラティヴ」、F3「自文化中心」の3因子構造が最も適当であると考えられた。これら3つはそれぞれが一次元尺度を成すと考えることのできる一方で、理論的にも、過去の研究で得た構成概念からも、各尺度には下位概念を想定することができた。二次分析を行った結果、F1に「受容 .84」「最小化 .80」、F2に「適応 .86」「異対面 .78」、F3に「防衛 .81」「否認 .72」の下位概念を確認した(数値は内的整合性を示すα係数)。本研究は科研費JP16K04626の助成を受けている。 

山本志都