
畑 茉里奈
青山学院大学 国際政治経済学部・国際コミュニケーション学科 末田清子ゼミ
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オンライン・ポスターセッション(非会員であっても、本学会の会員の推薦があった場合には 発表できます) オンラインコンテスト出場者の自己表現 more
Sun, Nov 28, 12:30-14:20 Asia/Tokyo
本研究では、オンラインコンテスト(オンライン上の活動を通して、投票数の順位を競う大会)の出場者と、それに関わる他者との交流を異文化コミュニケーションと捉え、オンライン上でのコミュニケーション(以下CMC)が出場者の自己表現に与える影響を探究する。2010年代後半から、有名人と大衆間でのCMCは、それ以前と比べてより親密で相互的かつ活発に行われるようになった(Chung & Cho, 2017)。さらに、2019年以降の新型コロナウイルス蔓延に伴い、非対面のコミュニケーションがニューノーマルとなりつつある。また例年対面で行われていたコンテストがオンライン化する傾向も見られる。コンテスト出場者は本名と顔を公開しているが、出場者以外は匿名性を確保した状態で出場者と交流を行うことができ、匿名性の非対称性が生じている。オンライン上の自己開示に関する心理学研究では、匿名の相手に対して親近感を抱くのは難しいとされている(佐藤・吉田, 2008)。また、他者の匿名性がコミュニケーション行動に及ぼす効果に関する研究では、本名や顔が公開される状況下では攻撃的発言が抑制されることが分かっている(佐藤, 2012)。これまで、匿名性が介在するSNSでの交流が、個々人の自己表現に与え得る影響には、限界があるという前提で調査が行われてきた。しかし、SNSの利用が急速に増加し、多様化していることから、オンライン交流が他者に与える影響度は計り知れない。これらを踏まえ、匿名性が担保されている人とそうでない人のコミュニケーションという対照性を研究することは、CMCが人に与え得る影響の見直しに寄与すると考える。本研究では、オンラインコンテストに出場した20歳から21歳までの男女合計6名(女性5名, 男性1名)にそれぞれ約60分間の半構造化面接を実施した。調査参加者は合目的的サンプリング法によって選び、その後KJ法(川喜田,1967)で分析した。その結果、オンラインコンテスト出場者の自己表現方法への影響や自己表現方法の変化においても、匿名性と親密度という2つの要因が深く関係していることが浮き彫りになった。


