
Mitsuko Takei
Hiroshima Shudo University
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竹井 光子 広島修道大学・国際コミュニティ学部 教授(グローバル教育グループ) 主な担当科目は、異文化理解論、多文化交流プロジェクト(国際共修科目) 最近の研究では、バーチャル交流における日本語第一言語話者と日本語学習者のインターアクション(言語行動とその背景にある意識)に焦点をあてている Mitsuko Takei is a professor of the Faculty of Global and Community Studies at Hiroshima Shudo University, Japan. She has an M.S. in linguistics from Georgetown University and a Ph.D. in information sciences from Hiroshima City University. Her research focus is on the intercultural interaction of L1/L2 speakers of Japanese.Sessions
オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分) FREPA/CARAPを援用した自己評価調査からみえてくるもの-教育的示唆と実践- more
Sat, Nov 27, 09:50-10:20 Asia/Tokyo
国や地域という境界を越えて世界的に物資、資本、人材、情報が行き来する「グローバル社会」、異なる国籍や民族の人々が互いの違いを認め合い、対等な関係を築きながら共に暮らす「多文化共生社会」が現代社会のキーワードとなって久しい。グローバル化が進展し異文化接触の機会が増大する中、言語能力に加え、文化的な能力が重視されている。この能力は、Byram (1997)やDeardorff (2006)のモデルをはじめとして、多様な用語、定義、概念を用いて論じられてきた。複言語・複文化主義を理念とする「欧州言語共通参照枠」の増補版(CEFR 2020)では、複文化レパートリー(pluricultural repertoire)の尺度が新設され、能力記述子23項目が追補された。その詳細な分類や記述については、CEFRを補完するものとして「言語と文化の多元的アプローチのための参照枠(FREPA/CARAP)」を参照するようにとの指示がある(CEFR 2020, p. 31, p. 124)。さらに、総項目数が数百にものぼるFREPA/CARAPから、日本の状況に合わせた異文化間能力指標として29項目からなる能力記述文を提示した松本(2012, 2013)の試みは、日本の教育現場における利活用の点から注目に値するものである。本発表では、松本(2012,2013)の知識、態度、思考スキルの3つのカテゴリーからなる29項目のリストを援用したアンケート調査の分析結果を報告する。調査対象は、「豊富な異文化体験や学びを通じ、国際感覚を養う」ことを目標とする学科の入学生(3年度分193名)である。7件法による自己評価の得点平均が低かった項目から得られる示唆を、同学科のカリキュラムや授業内容の見直しに活用することをねらいとする。とくに、29項目中26位の「下位文化の存在と複数の下位文化への所属(知識)」と27位の「自言語・自文化の客観的説明、異文化に対する客観的な意見の表明(スキル)」の2項目に着目し、それらの要素を授業に組み込むための実践例や案を提示するとともに、調査結果から得られる示唆について論じる。

