
関昭典
東京経済大学
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東京経済大学全学共通教育センター教授 全学共通教育センター長 一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE)代表理事Sessions
オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分) 国際交流プログラムにおいて「交流を通じた学び」を確実とする教育手法の検討 ー東南アジア、南アジアにおける大学生国際協働プロジェクトを事例としてー more
Sat, Nov 27, 10:30-11:00 Asia/Tokyo
学生を対象とする国際交流プログラムは、「交流を通じた学び」の観点で一貫性を保ちつつも、時代の流れ、とりわけその時々の教育の状況に応じて柔軟に変化していく必要がある。 1980年以降の日本の教育の変遷を例にとれば、1980年代は主に高等教育機関において教育の国際化が本格化し、外国人留学生の受け入れを強化した。グローバル化社会に突入した2000年代は、国際競争に勝てるグローバル人材育成に注力し、留学者数を増やすための施策が活発化した。しかし、在留外国人数が約288万人となった今日においては、かつて日本を超えて「ソト」に出ていく者に求められたグローバル人材としての資質が、「ウチなる国際化」に対応するため日本に暮らすすべての市民に必要とされるものとなった。 発表者が所属する団体は、主に「異文化理解力、異文化コミュニケーション力」を着目点としてネパール、ベトナムを始めとした東南アジア、南アジアにおいて2008 年以来様々な形態の国際交流プログラムを試みてきた。時代の変化に応じてプログラム内容を変容させてきたが、その活動の根幹には、常に「多様な他者との交流を通じて世界の諸問題に取り組む」という観点があり、団体独自の教育手法に基づいてプログラム構築がなされていた。具体的には以下の六段階プロセスモデルである。 1 .他者に対する考え方の構築 2 .諸問題についての知識の習得 3. 問題解決へのアプローチ法の理解 4. 問題への認識,意見,対応策の考察 5. 他文化社会での他者との交流実践 6. 交流活動の振り返り 我々が取り入れてきたこの教育手法は、異文化コミュニケーションスキルや、地球市民として備えるべき様々なスキルを養成する上で多大な効果を発揮してきた。その一方で、我が国を取り巻く状況はこの10数年で大きく変化しており、教育手法を改善する時期を向かえている。 そこで本発表では、関&大瀬(2019,2020)において考察した国際交流プログラムを再検証し、時代に変化に即した新たな教育手法を開発に向けた取り組みを共有する。 <参考文献> 関昭典,大瀬朝楓(2020)「多文化共生時代における学生主体国際交流プログラムの考 察」,『東京経済大学人文自然科学論集』,146, pp. 69-99. 関昭典,大瀬朝楓(2021)「コロナ禍におけるオンライン国際学生交流 プログラムの考察」『東京経済大学人文自然科学論集』,148, pp. 113-146.

