菰岡 祐人

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オンライン・ポスターセッション(非会員であっても、本学会の会員の推薦があった場合には 発表できます) 「ふたごに対する先入観がアイデンティティの調整に及ぼす影響」 more

Sun, Nov 28, 12:30-14:20 Asia/Tokyo

 本研究は、一卵性双生児に焦点を当て、その成長過程において、ふたごに対する先入観が彼らのアイデンティティ調整にどのような影響を与えたのかを、多面的アイデンティティの調整におけるシェイムの役割(末田, 2012)という観点から探求するものである。  古畑(1954)によると、二卵性双生児に比べて一卵性双生児は性格類似度が極めて高い。しかし、一卵性双生児が同一視されることが多い中で、個を確立させようとしていることも示唆されている。たとえば、志村(1999)は、80年代以降の「双子もの」の児童書には、似ている・同質というふたごに対するステレオタイプだけでなく、その先入観を通してふたごが自我を形成し、個を確立している姿が映し出されていると指摘している。  また、ふたご同士の感情的結びつきは強く、彼らの相互関係はきょうだいや友人との関係とは大きく異なると分かった(三木ら、1964,1969)。このように、ふたご間の関係性を問う文献は存在するものの、周囲が持つ先入観に対する当事者の想いを明らかにする文献は少ない。  末田(2012)によれば、「人には他者に見せようとする社会的に価値のある自己の姿(フェイス)」(p.21)が存在する。また、末田は、複数のアイデンティティの調整において、フェイスの背後にあるシェイムとプライドという感情に着目し、シェイムへの対処がアイデンティティの調整に影響を与えると示唆した。前述で取り上げたとおり、ふたごに対する先入観からくる一卵性双生児の感情をシェイムと捉えるならば、シェイムを払拭しプライドを取り戻したときにふたごはアイデンティティを調整するだろう。また、ふたご同士の強い感情的結びつきもアイデンティティの調整に影響を及ぼしている可能性がある。  本研究では、一卵性双生児計8名(男性3名、女性5名)にそれぞれ約60分間の半構造化面接を実施した。その結果を、KJ法(川喜田,1967)を用いて分析し、一卵性双生児として生まれたことで直面したシェイムにどう対処していくのか、どのようなアイデンティティの調整が起きるのかを明らかにし、発表する。

伊豆野紗智 青木奈咲 菰岡 祐人 Naiki Kikuchi