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On-line presentation (research presentation) (30 Minutes)

宮古島市の中学生の言語コミュニケーションとバイリンガリズム:言語のエスノグラフィーから観る日本語と宮古語のトランスランゲージング

Sat, Nov 27, 09:10-09:40 Asia/Tokyo Room B (Saturday)

 南琉球の宮古島では、日本語でもない、沖縄語でもない、「宮古語」が話されてきた歴史がある。現在では、その宮古語は他の琉球諸語である奄美語、国頭語、沖縄語、八重山語、与那国語と同様に、ユネスコの世界危機言語地図(Mosley 2010)の中で消滅危機言語として、その危機が指摘されている。  なぜ消滅に至ったのかという理由は、琉球王国が日本国に併合された歴史、1879年に沖縄県が設置され、日本に編入され(琉球処分)、明治期の標準語化政策のもとでは学校教育で日本語への同化を強いたことを挙げることができる。次に、沖縄県は太平洋戦争後にアメリカ合衆国の占領下に置かれたまま、今度は「日本への復帰」を意識することで、学校において「標準語(日本語)励行運動」が奨励された(石原 2015, Fujita-Round 2021)。  このような20世紀に宮古島で起きた歴史的かつ社会的なマクロのレベルでの日本語と宮古語の言語使用が、21世紀には日本語を優位言語にし、一方で、宮古語を弱い言語、ユネスコにより世界で消滅危機言語といわれる言語にしたといえる。本発表では宮古島市においてミクロなレベルで、21世紀を生きる中学生たちが宮古語をどのように使い、また宮古語に対してどのような意識を持っているかを縦断的に調査してまとめた言語のエスノグラフィーから、2010年代の宮古島市の中学生の言語コミュニケーションと日本語と宮古語への意識、また彼女たちの二言語のトランスランゲージングについて考察する。

<参考文献> Fujita-Round, Sachiyo (2021 in press). ‘Chapter 4 Language Communities of the Southern Ryukyus: Miyako, Yaeyama, and Yonaguni’ in J.C. Maher (ed.) Language Communities in Japan,  Oxford: Oxford University Press. Moseley, Christopher (2010). Atlas of the World’s Languages in Danger, 3rd edition. Paris: UNESCO Publishing. 石原昌英(2015)「第10章 奄美・琉球諸島とハワイ諸島における言語復興について」石原昌英編著『沖縄からの眼差し・沖縄への眼差し』琉球大学・沖縄タイムス社

  • SACHIYO FUJITA-ROUND

    Currently I am researching on language revitalisation in the Miyako Islands, which derived from my research on bilingualism and multilingualism in Japan. I am interested in Bilingualism and Education in community and intermarriage family in particular.