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On-line presentation (research presentation) (30 Minutes)
リーダーシップ教育における学生の自己理解についての一考察
背景―技術革新や社会の大きな変化のなかで、より多様性が求められている現代、リーダーシップ教育は従来の「1人のカリスマ的リーダーの出現を待つだけでは不十分」な時代(中原、2018)から、「一人ひとりがリーダーシップを発揮して問題に立ち向かうこと」が必要だといわれる。また、リーダーシップの発揮において、自己理解は非常に重要である。ところが2020年に世界を襲ったパンデミックにより、日本の大学生を取り巻く学習環境は大きく変化した。学生の孤独感、孤立感、ストレスの増加、自己肯定感の低下が問題視されている。また、キャリア・アンカー論(2003)によれば、キャリアを知るためにも、自己理解を深めることが必要である。大学のかかわり方が大きく問われている。オンライン化でも対応可能なリーダーシップ教育、キャリア教育における学生の自己理解、自己肯定感を高めるプログラムの研究が必要であると考えた。 目的―この研究では、この自己理解に軸を置き、大学生を対象としたキャリアプログラムの中で、主観性、客観性を軸としたライフストーリーのプログラムに着目した。また、キャリア・マトリックスという、比較的新しいライフストーリーの手法を導入し、ナラティブ分析により学生の自己理解の変容を明らかにしたい。 方法―本研究では、誕生から現在(学生)に至る生活を3年ごとに区分記述し、主観性、客観性、および個々の区分の相互関係を記述する3つのライフストーリーの作成というプログラムを提案し、学生への半構造化分析を行った。 結論― 3つの角度からライフストーリーを見つめなおす過程の中で、学生の多くが「効果が感じられた」、「このような取り組みに関心を持つ」と答えた。本研究のモデル・プログラムは、主観的自分、客観的な自分を受け入れること、そしてキャリア・マトリックスにより自分の将来へつながる自分の資質に気が付くというレベルで、自己理解の深化や自己肯定感の向上がみられた。この定性調査の結果を手掛かりに、今後のリーダーシップ教育の中での自己理解プログラムとして提唱できるように、さらに検証を行っていきたいと考える。