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オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分)

国際共修の経験と意味づけのプロセス - 日本人学生とインドネシア人学生の事例研究-

Sat, Nov 27, 11:50-12:20 Asia/Tokyo Room C (Saturday)

近年、高等教育機関の教育実践のひとつとして、国際共修の機会創出と質の向上が議論されている。本研究では、日本とインドネシアの大学生が約1か月のオンラインでの協働作業を経たのち、その経験にどのような意味づけをするかを検証する。研究対象者は22名の日本人学生と28名のインドネシア人学生である。学生らは2021年6~7月にかけて7つの合同グループを作り異文化理解をテーマに学習会をひらき、最終的に成果物のプレゼンテーションを行った。グループが選択した小テーマは職業観・シビックエンゲージメント・ジェンダーなどであり、それぞれ対話を通して二国間の比較を試みた。中間報告書、事後アンケート、省察レポートの実施に加え、プログラム終了後に半構造化面接を行った。学生らがこの経験にどのような意味づけをしているのかを考察しプロセスモデルにまとめる。 着眼点の一点目は、協働中に起こる想定外の出来事と、付随する戸惑いや不安について、どう捉えどう対処したか、もしくは対処しなかったかという、自己の行動の省察からの意味づけである。ある日本人学生は、戸惑い体験ののちに「根気よくコミュニケーション方法を修正」し、この作業を繰り返した。この学生にとってこの経験が異文化コミュニケーションに対する新たな概念形成に繋がっていることが示されている。 二点目は、異文化間で対話を深めていく過程が、多様性の中にさらに存在するサブグループ内のスペクトラムへの気づきを促しており、それが「世の中の情報の解釈をいったん保留にするスキル」の習得に繋がっている点である。ある日本人学生は、事前に一夫多妻制とムスリムの考え方について調べ、準備をして勉強会に参加した。しかし実際に意見を交わすと、グループメンバーのムスリム学生の考え方は予想と逆であった。このように、直接の対話が解釈の捉えなおしを促しており、学生にとってこの共修が、異文化理解に留まらず、当事者の声を聞くことの重要性を再認識する経験であったことが示唆されている。 最後にこれらの分析を踏まえ、異文化間能力を深めるための国際共修プログラムの要素と効果的なデザインについても提言を行いたい。

  • 西原明希

    多文化教育が専門です。コロナ前は、大学2年生の海外プログラム(多文化共生などがテーマ)を担当していました。この1年半はオンラインで国際共修の可能性をあれこれ探求しています。