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オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分)

在日中国人高学歴女性の文化的アイデンディティ: 「自己表示」と「他者帰属」に着目して

Sat, Nov 27, 10:30-11:00 Asia/Tokyo Room C (Saturday)

 ここ数年、中国人の日本留学ブームと卒業後日本で就職する傾向が強い状況を背景として、日本でホワイトカラーや専門技術職に就く高い学歴を持っている中国人女性はかなりの数に達している。増え続ける中国人に関する研究は多く見られるが、在日中国人高学歴女性のアイデンティティを巡る研究は少ない。  Collier (1998; 2005) は文化的アイデンディティの形成の2つの側面を提示し、他者に見せた自己を「自己表示」 (avowal)、自分の他者に対する認識と他者の自分に対する認識を「他者帰属」 (ascription) と定義している。自己と他者の歴史、社会的地位、文化集団などが異なるため、「自己表示」と「他者帰属」は常に矛盾しており、複数の社会的カテゴリーを持っている人々の文化的アイデンティティの多様性に対する認識の欠如は、当事者の自分に対するハイブリッド性への理解や職場における女性の活躍の可能性に影響をもたらす(Chen & Collier, 2012)。  本研究では、上述したCollierの文化的アイデンティティ理論を用いて、在日中国人高学歴女性の文化的アイデンティティについて考察を行う。彼女たちの「自己表示」と「他者帰属」を明らかにし、それぞれの形成要因も検討する。大卒以上の学歴を持つ日本で働いている中国人女性4名を研究協力者とし、それぞれ2、3回半構造化インタビュー調査(60〜90分)を行い、そこから得られた語りを分析した。  インタビューの語りから、彼女らは「中国人」、「女性」、「〇〇(職業)者」、「キャリアウーマン」、「若者」など様々な自己を見せるが、職場において人員配置や昇進、お客様対応の場合、周りの日本人に「外国人女性」と見なされることが多いと感じていた。「自己表示」は多様であるが、「他者帰属」は限定的であり、「自己表示」が「他者帰属」と一致していないことが分かった。さらに、コンテキストによって同じ「自己表示」に対する当事者の意味づけが変わること、在日中国人高学歴女性の個人としての能力の発揮は限定的に認識された「他者帰属」の影響を受けていることも明らかになった。

参考文献 Collier, M.J. (1998). Researching cultural identity: Reconciling interpretive and post-colonial perspectives. In D.V. Tanno & A. Gonzales (Series Eds.), International and Intercultural Communication Annual: Vol. 21. Communication and identity across cultures (pp. 122-147). Thousand Oaks, CA: Sage. Collier, M.J. (2005). Theorizing cultural identifications: Critical updates and continuing evolution. In W.B. Gudykunst (Ed.), Theorizing about intercultural communication (pp. 235-256). Thousand Oaks, CA: Sage. Chen, Y. W., & Collier, M. J. (2012). Intercultural identity positioning: Interview discourses from two identity-based nonprofit organizations. Journal of International and Intercultural Communication, 5(1), 43-63.