Not Logged In
[Zoom] You need to be logged in, be a member, and get a ticket to attend this session.
オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分)
サンフランシスコベイエリアの新一世の変容 -長期滞在者への聞き取り調査の比較からの考察-
1.はじめに サンフランシスコは、アメリカの中で最も古い日系コミュニティが形成された場所であり、日系人だけでなく、多くの長期滞在の日本人も生活している。サンフランシスコ近郊で、新一世の特徴がどのように変化しているのかを明らかにすることを目的に、2007年に実施した60代以上の女性4人の長期滞在者の調査と2016年に実施した長期滞在の30代後半から50代前半の日本人女性4人を対象としたライフヒストリー方法による聞き取り調査の比較を行った。 2.研究方法 海外で長期滞在する日本人の特徴を調査するために、対象者の考え方を引き出せる会話を重視する研究方法であるライフヒストリー法が一番適切と判断した。本研究では、(1) 日本で少なくとも高等学校までの教育を受けている、(2) アメリカに15年以上在住しているという2つの条件を満たす長期滞在の日本人女性に聞き取り調査を実施した。分析・検証は先行研究、筆者の先行研究の聞き取り調査と比較し、新一世の特徴の変容を考察した。 3.考察 2007年と2016年の調査の比較から、4つの共通点が明らかになった。一つ目は、日本にいた頃から自我が確立しており、積極的な性格であったことである。二つ目は、子どもに対する日本語と日本文化教育の課題である。日本人としてのアイデンティティを持ってほしい願いが強いことがわかった。三つ目は、海外生活の基盤として友人関係の構築と自身のネットワーク、コミュニティの形成が重要であることである。四つ目は、英語力の課題である。 変化してきている顕著なことは、日系社会と関わりである。このことは、渡米時の環境や状況の違いも影響している。2007年の対象者が渡米した頃は、対象者の語りからも明らかなように、日系社会とつながりを持つことは、情報収集のためにも重要であった。2016年の対象者の渡米時期は、インターネットの普及により日本とのつながりを持続することができたため、日系社会との関わりは重要ではなかった。国際結婚などによる他民族との関わりの増加も変容している点であった。日系社会が求心力を失いつつあることも影響し、日系社会から地域コミュニティへと生活の基盤の広がりが明らかになった。