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オンライン・プレゼンテーション(研究発表 30分)

日本の若者が感じる韓国文化の魅力と違和感 ―韓国文化の享受経験者に対する事例研究―

Sun, Nov 28, 13:50-14:20 Asia/Tokyo Room B (Sunday)

 本研究は、韓国文化を楽しんでいる日本の若い世代を対象にインタビュー調査を行い、韓国文化の魅力と違和感についての具体的な情報を収集することを目的としている。異文化(韓国文化)に感じる魅力と違和感の要素を分析・考察することによって、異文化(日韓)の相互理解に有益な知見を見出すことを目指している。  調査は、2020年10月に宮城県の3大学の在学生および卒業生18名(19-24歳)を対象に実施した。インタビュー(Zoom使用)の質問項目は、①韓国文化の享受経験、②韓国語の学習経験、③直接経験(訪韓経験・韓国人との接触経験)、④文化享受・韓国語学習・直接経験の関係、⑤属性で構成されている。  本発表では、主に韓国人のコミュニケーション・スタイルと生活環境についての調査結果を報告する。韓国文化の魅力については、コミュニケーションにおける距離の近さ、デジタル化、出前文化の3つが多く挙げられた。フレンドリーで人間味があふれること、デジタル化が進み暮らしやすいこと、出前文化が発達し楽であることが報告された。これらの結果より、韓国文化の魅力要素として「人情・温かさ」「実用性・利便性」「スピード感」の3つを見出した。韓国文化の違和感については、接客事情、交通事情、トイレ事情の3つが多く挙げられた。無言で仕事ぶりが雑であること、車優先で運転が荒いこと、紙が流せず汚いことが報告された。これらの結果より、韓国文化の違和感要素として「丁寧さ」「安全性」「清潔感」の3つを導き出した。  魅力の3要素は、日本文化に基づく期待度が低いため、韓国文化を通じて期待を上回る経験をすることによって、満足感が大きく、魅力を感じやすいものと考えられる。一方で、違和感の3要素は、日本文化に基づく期待度が高いため、韓国文化を通じて期待を下回る経験をすることによって、失望感が大きく、違和感を覚えやすいものと考えられる。以上のことより、異文化(韓国文化)に対して感じる魅力と違和感は、自文化(日本文化)に基づく期待とのギャップに起因する可能性、つまり期待以上の経験が魅力、期待未満の経験が違和感につながりやすいことが示唆された。

  • Jeong-bae Oh

    尚絅学院大学人文社会学群人文社会学類准教授。韓国出身。東北大学助教、日本学術振興会外国人特別研究員を経て現職。専門は外国語教育と社会心理学。主に日韓の相互認識について研究している。*本研究は駐仙台大韓民国総領事館の助成を受けて行ったものである。

  • Hyeon-cheol Kim

    東北大学 高度教養教育・学生 支援機構 准教授。専攻は舞台芸術(performing art)、特に、日韓近代劇の理論形成過程について研究している。最近では「日韓文化比較」についても関心を持って研究を進めている。主な著書・論文に『韓国芸能の原理と方法』(共著)、ソウル:演劇と人間、2006.「韓国と日本におけるコンテンツ概念の比較研究」、『韓国学研究』45、高麗大学韓国学研究所、2013.「日韓の山岳信仰に関する考察」、『智異山南岳祭の伝承と祭りに関する研究』、求礼文化院、2013.「日本における韓国語教育の現況と課題」、『韓国初等国語教育』59、韓国初等国語教育学会、2015がある。*本研究は駐仙台大韓民国総領事館の助成を受けて行ったものである。