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On-line workshop (110 minutes)

ふだん話をしない人や物との会話を楽しむ

Sun, Nov 28, 14:30-16:20 Asia/Tokyo Room F (Sunday)

MusIICでは、相手と心を通いあわせるコミュニケーションを行うための方法を研究しています。これまでのワークショップでは、人間への理解を深めるため、五感を使って相手を受け入れるアクティビィティをしてきました。相手を心から「受け入れる」ことは、広い意味での承認欲求を満たすことにもなります。

私たちは、今回、対象をさらに広げて、「人でない者たち」とのあいだに心の絆を築く試みをします。じつは、子供は多かれ少なかれ、みんなそういうことをしています。人形やぬいぐるみに話しかけたり、植物や動物に問いかけたり、大人から見ると不思議な遊びです。

童話作家の斎藤洋さん(68歳)が、ここ数年「人でない者たちとの会話」を楽しんでいると公表されていて、さすが!と思いました。斎藤さんは、動物園で、「もし自分がレッサーパンダだったら、私になんて言うだろうか、そして、それを言われたら私はレッサーパンダにどう答えるだろうか」とふと思ったそうです。そして、実際にやってみるとなかなかおもしろい。「つまり、私はレッサーパンダと話をした…ようなものなのだ」と述べられています。以来、公園の風車と話をするなどいろいろ行い、ついには、大学病院のドクターヘリがプロペラをブンブン回転させながら「きみたちも、将来、世のため、人のためになる仕事をしなさい」と、見物に来ていた少年たちに声をかけているのがわかったということです(日経新聞2021-07-18)。

さて、わたしたちもいろいろ遊んでみたいと思います。MusIICで取りくんでいるドラマセラピーやドラマワークでは、子供の世界に戻って自由に想像を広げます。大人同士でも、ごっこ遊びを展開するとさわやかな気持ちになります。人ではない身近なモノに話しかけたら、どんな会話ができるでしょうか。植物や、動物も、石も思わぬ反応をしてくれるかもしれません。心の中で思うだけでなく、実際に声に出してみます。子供が素直にそうするように。

このワークショップが終わった後、「人やものを受け入れること」が容易になりコミュニケーションがさらに楽しくなっていたらうれしいです。

ちなみに、もしやってみようと思えば、ちょっと苦手な人に想像のなかで話しかけてみたり、あるいは、もう会えない人としみじみ会話をする、ということだってできますね。

【参考文献】 尾上明代(2006)『心ひらくドラマセラピー 自分を表現すればコミュニケーションはもっとうまくいく!』 ルネ・エムナー(2007) 『ドラマセラピーのプロセス・技法・上演 ― 演じることから現実へ』(北大路書房) 斎藤洋(1987)『ルドルフとイッパイアッテナ』(講談社) 八代京子・樋口容視子・日下啓・ 勝又恵理子(2019)『アクティブラーニングで学ぶコミュニケーション』(研究社) Axel Honneth (1995) The struggle for Recognition – the Moral Grammar of Social Conflicts

SIG (Special Interest Group )のひとつである MusIIC (Multi-sensory Approaches to Integral Intercultural Communication) 共同発表者:樋口容視子(アイデアマラソン研究所)、八代京子(麗澤大学名誉教授)、磯崎京子(NPO法人ベルダレルネーヨ)、山本薫(桜美林大学)

参加人数:16名まで